ふんわりした生活

本を読んだり仕事でやってみたことなどの日常から、ふんわりと気づきなどを書いていきます

クラウドサービスはまだVBAを越えていない

いまだに利用の衰えを知らないマクロについてです。

以前にLightSwitchのことを書きましたが、マクロと言えば日本のビジネスを支えている黒子のような存在ですよね。

m0t0k1m0t0k1.hatenablog.com

インターネット環境がオフラインでも勿論ですが動作します。 主にはExcel、場合によってはAccessでつくられたマクロ入りのブックやデータベースは今日も社内のファイルサーバへ何度も上書き保存されていることでしょう。 さらにそれをテンプレートにして加工されたブックなどが幾つも電子メールを介してあちこちへ配布されていることでしょう。

メリットが止まらない

マクロは基本的にオフラインでも動作し、しかも数人で小〜中規模のデータを管理するのであればこれ程優れたソリューション?もないかもしれません。

というのも、現時点のクラウドサービスには無いメリットがあるからです。

まず、スマホタブレットではデータ入力作業を効率的に行うための仕組みがまだありません。 それに、Web技術の進歩により劇的に向上しつつある入力用のインターフェースですが、まだまだタイプのスピードには及びません。 こうしたことを補って凌駕するようなクラウドサービスが登場したら素晴らしいことです。

次に、セールスフォースが提供しているようなソリューションは非常に素晴らしいのですが、小規模なデータ管理を行うには割高かもしれません。 セールスフォースのサイトを見ると、無料で利用できるエディションがいつの間にかなくなっており、アカウントが沢山あればボリュームディスカウントもあるでしょうが数人では高くつきます。

セールスフォースなどはデータ項目をダイナミックに変更することができたり、Accessのクエリのようにレポート作成することも驚くべき機能です。しかし小規模の場合はデータの項目なんてExcelで切って貼れば済む話ですし、ExcelAccessにもフィルタはあります。

さらに。 マクロには画面をつくったり、ボタンやプルダウンのような画面部品をシートなどへ貼り付けて実際に動作させることもできます。 それら動作はVBAで記述することができますし、全てユーザーが自由にコントロールできます。

しかも、大事なことはデータ、ロジック、ビューの全てが一つにまとまっているということです。

プログラマからすればクソとしか言いようのない仕組みかもしれません。 しかし、小規模なデータ管理においてはそこまで高度な仕組みは必要ではありません。 MVCになってない?密結合過ぎる?知らないよそんなことは、ということです。

担当はその数名だけ、できるだけ全てが目に見える位置にまとまっていることが大事なのです。

このことを考えるとき、個人的に思い出すものとしてシンセサイザーという楽器があります。私が子供の頃はデジタル化の波が来ていて、最低限のビューしか用意されていませんでした。しかし、わたしが大学生になる頃には、そのシンセサイザーができること全てが表面のパネル部分に露出するようになりました。 その方が操作しやすかったからですし、直感的でもありました。似たような感覚を覚えます。

このほか、マクロはその気になればパソコンそのものを操作することもできます。 例えばレポートを印刷することもマクロからできます。データの集計からレポート作成まで含めて一連の流れを経たうえで、なおかつ用紙サイズを指定したりすることも可能です。

そのうえ、レポートとして手動で手を加えることもできます。 あとから矢印や注釈、吹き出しを入れたり他の資料からグラフを引用したり。画像も参考に入れてしまうこともできますね。

マクロの世界はいつ終わるのか

こうしたビジネスの一部はまだ当面続くでしょう。MicrosoftのOffice Onlineでもまだマクロは動作しません。

わたしが書いた電子書籍も買っていただいている方がコンスタントにいらっしゃるようですし、VBAのニーズはまだまだあります。

クラウドサービスはスタートアップ企業がガンガンとローンチさせていくと思います。そのうち、日本語も難なく扱うことができて、しかもユーザーにパワフルな自由度を与えることができたら、きっとマクロで妙な配色のウィンドウフォームやダイアログを見る機会も減っていくことでしょう。

とはいえ、いまだにデスクトップ開発ではマクロ作成依頼は沢山あるようですし。 わたしもサラリーマン時代にイントラWebサービスだったものをVBAに置き換えるという不思議な仕事もしたことがありました。

それに、もう5年以上前にブログに書いた「Outlookでメールの添付ファイルを一括保存するマクロ」の記事が、いまだ利用されている状況を考えると、変化はそれ程早くはないでしょう。

blog.livedoor.jp

クラウドサービスがユーザーの手の届くところへ来るのはまだこれからなんだと思います。 或いは、それより早くMicrosoftがマクロを越えるデスクトップソリューションを提供するようになるか?しかもWindowsにインストール済みで、が望ましいかもしれません。

いまの20代、30代が大企業の部長クラスになれば、彼らはクラウドネイティヴ(そんな言葉あるのかな?)です。大企業にも必ずある小規模データ管理のためにクラウドを選択する時代へと変えてくれるでしょう。